診療のご案内

呼吸器疾患

呼吸器の病気

呼吸器の病気

呼吸器とは「空気の通り道」に関与する器官の総称で、具体的には鼻、咽頭・喉頭(のど)、気管・気管支、肺を指します。

呼吸器の病気の症状としては、鼻詰まり、喉の痛み、声がかれる、咳・痰がでる、息苦しい、胸が痛いなど様々です。

当院では、原因の診断のために身体所見(喉の異常、声の異常、咳の印象、熱の有無、胸部聴診所見など)をもとに病気を推測し必要に応じて胸部画像検査、心電図、胸部超音波、肺機能検査、呼気中一酸化窒素測定などを組み合わせ、できるだけ速やかに適切な診断、治療に至るよう努めます。

特に長引く咳は呼吸器専門医の受診を強くお勧めします。

長引く咳の原因としては感染症(慢性副鼻腔炎、慢性気管支炎、非結核性抗酸菌症など)、アレルギー性疾患(気管支喘息など)、咽喉頭過敏(ストレスによる咳)、逆流性食道炎など幅広い病気の鑑別が必要となります。

代表的な病気

かぜ症候群・
インフルエンザウイルス感染症・
新型コロナウイルス感染症

かぜ症候群・インフルエンザウイルス感染症・新型コロナウイルス感染症

一般に鼻からのど(喉頭)までの気道を上気道といいますが、かぜ症候群は、感染症によりこの部位の急性の炎症による症状を呈する疾患を総称します。別名急性上気道炎とも言います。

炎症の強い部位により鼻炎、咽頭痛、嗄声、咳などの様々な局所症状を示すと共に、感染症による全身症状(発熱や関節痛)が認められます。原因の80~90%がウイルス(ライノウイルス・コロナウイルス・RSウイルスなど)であり、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスも原因の一つです。

ウイルス以外の原因としては、溶連菌、マイコプラズマ、クラミジアなどが原因となります。これらの病原体は接触感染や飛沫感染で人から人へ感染しますので、普段の予防には手洗いや手指消毒、マスク装着、人混みを避けるなどの対策が有効です。

また感染の成立には個々の免疫力も関連します。免疫力の低下する要因として寝不足、疲れ、寒さ、栄養不足などが挙げられますが、普段から体調管理を怠らないことも大切です。

ウイルス性上気道炎の場合は、自然治癒を待つしかなく治療は対症療法となります。原則として抗菌薬は使用しません。(抗菌薬は決してウイルス性上気道炎を早期治癒させることなく、逆に多剤耐性菌の生着を誘発したり、下痢などの副作用を誘発することがあります)

ウイルスの一部、および細菌感染症(溶連菌やマイコプラズマ感染症など)には抗ウイルス薬・抗菌薬が有効ですので、できるだけ早期診断に努めることが重要です。かぜ症候群においてウイルス感染症か細菌感染症かを見極めるのも十分な経験に基づいた診断が重要となります。

感染症の診断には鼻腔ぬぐい液等による迅速検査も有用ですが、接触歴、症状、咽頭所見なども重要な所見です。当院では検査結果だけに頼らない診断を強く心がけています。

更に、新型コロナウイルス感染症がかぜ症候群や気管支炎・肺炎の重要な病原体として2020年から加わり、気道感染症の診療がより複雑化しております。当院では抗原定性検査(10-15分で結果判明)及びPCR検査(翌日以後結果判明)を必要に応じて実施できる体制を整えております。

また、これら感染症の院内感染を防ぐため、当院では感染症を疑う患者さんは院外診察スペースで診療を実施しています。

以上のように、呼吸器専門医として、当院では気道感染症に対して適切かつ迅速な診断を目指しており、また徹底的な感染予防に努めています。

急性気管支炎・肺炎

急性気管支炎・肺炎

急性気管支炎・肺炎は総じて下気道感染症といいますが、上気道炎と異なり細菌感染が原因となることが多いです。

ウイルス感染症に続発することも多いですが、ウイルス感染症は通常3~4日以内に自然治癒します。

3~4日以上発熱が続く、また色の付いた痰が多量にでる、息切れを伴う、などの場合には下気道感染症が疑われるため、早期の受診をお勧めします。

下気道感染症の原因となる病原体は肺炎球菌が最も多く、次いでインフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なります)、モラクセラ菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラとなっています。

当院では肺炎球菌感染症は尿検査での迅速検査が可能であり、比較的高い確率で診断が可能です。

細菌感染症に対する治療は抗菌薬を使用しますが、肺炎球菌迅速検査陽性例以外には、初診時に病原体を特定し抗菌薬を選択することは困難です。当然、初期治療はある程度病原体を推測し抗菌薬を処方いたしますが、初期治療で治癒しない危険性も考え、可能な限り初診時に病原体を同定する検査(喀痰検査、血液検査)をするように努めます。万が一初期治療により改善が乏しい場合でも、これらの検査結果を踏まえて治療方針を再検証し、早期治療に努めます。

以上のように、当院では「感染症を治療するには敵を知る」という基本原則を大事にした診療を強く心がけています。

また、肺炎球菌感染症はワクチンによる予防が可能であり、特に65歳以上の方には強く接種を推奨します。

インフルエンザウイルス感染症も、高齢の場合二次感染(ウイルス感染に続発する細菌感染症)を併発しやすく、同様に65歳以上の方には強く接種を推奨します。

非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌症とは、近年中高年を中心に患者数が増えている肺の病気です。

非結核性抗酸菌は自然界(土や水、埃など)に常在する菌で、日常生活において知らないうちに感染していることが多い菌です。特に炊事・洗濯などの水仕事をする影響か、日本においては8割が女性の患者さんです。

非結核性抗酸菌は人から人へ感染しません。また比較的毒性が弱く、急に病状が進行することも稀な病気です。但し、抗菌薬には強く、もし悪化して抗菌薬治療が必要となる場合には1年~1年半の内服治療が必要となります。また、内服治療中には副作用にも十分注意して観察する必要があります。

また、非結核性抗酸菌は単一の菌でなく、人に感染症を起こす非結核性抗酸菌は約20種類存在します。

非結核性抗酸菌症の診療において、菌の種類を同定すること、どの時点で内服治療を開始するか考えること、内服治療を開始した場合、内服期間を考えること、また内服中の副作用に熟知していること、など呼吸器専門医・結核/非結核性抗酸菌症専門医でないと対応は困難と考えています。

非結核性抗酸菌症は健診(胸部レントゲン)で発見されることが最も多いです。

健診で異常を指摘された場合には、是非呼吸器専門医を受診されることをお勧めします。

非結核性抗酸菌症の
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睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸を繰り返すことにより様々な合併症をおこす病気をいいます。

睡眠時無呼吸症候群の原因としては中枢性(脳の障害など)と閉塞性(空気の通り道が狭くなる病気)に分けられます。

ここでは、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)につき説明させていただきます。

OSAは夜間のいびき、無呼吸などでご家族が気づかれるケース、また夜間不眠・日中の過度の眠気、起床時の頭痛や倦怠感などでご自身で気づかれるケースがあります。

OSAは日中の眠気のために交通事故や災害事故を起こす危険性が高くなります。

また、OSAは虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、脳血管障害などの危険性を高めると共に、心臓突然死(不整脈などによる)の危険性も健常人の2倍以上になるといわれています。もともとOSAの患者さんはメタボリック症候群を合併していることが多く、これだけでも血管の病気の危険性が高まりますが、更に夜間の酸欠状態により一層血管や心臓に負担がかかります。

睡眠時無呼吸症候群の診断には、まず携帯型検査装置(自宅で検査ができます)により検査を実施します。この装置で無呼吸低呼吸指数(AHI:1時間あたりの無呼吸低呼吸の回数)が40以上の場合には重度のOSAと判断され、CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)の適応となります。もし携帯型検査装置でAHIが20~40の場合には、ポリソムノグラフィー(PSG)検査により精密検査を実施します(PSG検査は専門施設での検査が必要となります)。

OSAの原因としては肥満が背景に存在することが多く、CPAP療法だけでなく生活習慣の改善による減量も重要な治療となります。

ご家族に夜間のいびきや無呼吸を指摘されている方、日中の眠気や起床時の体調の悪さが気になる方は是非検査をしてみましょう。

睡眠時無呼吸症候群の
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気管支喘息(ぜんそく)

気管支喘息(ぜんそく)

気管支喘息は気道(気管・気管支)に慢性的な炎症を起こすことにより、気道が狭くなる症状(ぜーぜーする、息苦しい)や、気道の炎症症状(咳や痰)が出現する病気です。

気管支喘息はアレルギー反応が原因ですが、アレルギーの成り立ち、アレルギーの原因物質(アレルゲン)は人により様々です。

気管支喘息は、発作的に息苦しくなったり、ぜーぜーする、咳や痰が酷くなる(これを気管支喘息発作といいます)だけでなく、慢性的な咳、痰や呼吸困難の原因ともなります。

また、気管支喘息は発作がなくとも徐々に気管支の炎症が進行し、気づいたら肺機能が相当低下してしまうことがあります。そのため、気管支喘息の治療は苦しいときだけ治療するのでなく、気道の慢性的な炎症をしっかりと制御することが重要です。

気管支喘息発作時の気管支喘息診断は比較的容易ですが、気管支喘息慢性期の診断(長引く咳や痰)は、他の多数の病気の鑑別も重要であり、専門医的視点が重要となります。

当院では、肺機能検査(スパイロメトリー)、気道抵抗試験(モストグラフ)、呼気中一酸化窒素測定を積極的に実施し、気管支喘息の早期診断に努めます。

気管支喘息は吸入ステロイド薬が治療の主体となります。自覚症状(咳・痰)だけで状態を判断せず、定期的に検査(肺機能検査など)を実施して、気道の状態を把握しながら治療を調整していくことが重要です。

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慢性閉塞性肺疾患
(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、タバコなどの有害物質を長期に吸入することで生じる病気です。

過去には、痰が多いタイプの慢性気管支炎、喘息のような症状を呈する肺気腫と区別していましたが、有害物質を長期に吸入した場合両方の病態は混在することが多く、現在はCOPDと総称します。

タバコ煙などの有害物質吸入による気道や肺の炎症は不可逆的で、一度壊れた組織が回復することはありません。

そのため、COPDになる前、もしCOPDと診断されてもタバコが原因の場合にはできる限り早期に禁煙することが重要です。

当院では積極的に禁煙治療の支援をいたします。

また、進行したCOPDのため慢性的な症状を有している患者さんには投薬治療により少しでも症状が楽になるように支援させていただきます。

更に、COPDは非常に筋力の低下や栄養障害を合併しやすい病気です。禁煙や投薬だけでなく、積極的な運動や栄養管理も重要な治療となります。

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症状から対処法を考える

(下記Q&Aは、日本呼吸器学会の【呼吸器Q&A】ページへリンクしています。)

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